cogno-SIC

cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

Made in Japan〜Japanese Repertoire for Concert Band

メイド・イン・ジャパン/Made in Japan〜Japanese Repertoire for Concert Bandメイド・イン・ジャパン/Made in Japan〜Japanese Repertoire for Concert Band


個人的に関心のあるCD。第7回饗宴(2004/3/14 東京芸術劇場)で後藤洋作曲「クラリタス ―シンフォニック・バンドのための断章」を上演する前に作曲者が渡米中ということでメッセージが朗読されたのだが、そのメッセージの中にアメリカで邦人作品が頻繁に取り上げられてることを言っていた記憶がある。確かその話題でこのCDのことも出てきたと思う。


邦人作品が外国で取り上げられることはうれしくもあるし、恥ずかしくもある。正直邦人作品が世界で通用するほどの芸術的資質を備えているか私は疑問なのである。邦人作品を日本人が好評価するのは当たり前であって、それは日本の閉鎖的体質による自国民の自己満足でしかないかもしれない。邦人作品が本当に外国で評価されてるのかどうかは実際に外国に訪れて直に聞いてみるしかないのだが、邦人作品を日本人である我々が評価する際、世界の諸作品と比較して作品を検証することを怠ってはならないのではないだろうか。もちろん世界的に認められている邦人作曲家はいるし(武満徹伊福部昭 etc)私はそのことを誇りに思っている。決して邦人作品が嫌いなのではないことをご理解いただきたい。


おそらくこのCDを聞いたと思われる友人によると、日本人による演奏とは全く異質の演奏らしい。この違いが出てくるのはやはり必然だと私は思う。かたや純西洋文化の地で育った人々と、西洋文化を切磋琢磨に(それがさまざまな日本人的解釈の下)真似してきた日本人とでは、邦人作品といえども作法が西洋のそれであるから、自ずとその演奏は違うはずだ。


今年県西Bバンドは、このCDにも収められている酒井格作曲「たなばた」(英語だと「The 7th Night of July(Tanabata)」=「七月七回目の夜」「七月七日の夜」)をコンクールでするようなので、ぜひ機会があれば聞いて欲しいし、その際日本人による演奏と聞き比べることをして欲しいと思う。