cogno-SIC

cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

天野正道「ティンパニー協奏曲」

気鋭の若手作曲家(と私が言っていいのか?)中橋 愛生さんのBLOGより。
http://napp.prof.shinobi.jp/Comment?0411240356

…委嘱作の天野正道ティンパニ協奏曲」。先月末に天野先生にお会いしたとき(完成の翌日だったと聞いている)に「冗談音楽だから」と言われていて、興味津々で聴きに行った次第。ソリストティンパニを11台使用する、というこの曲は、天野作品での系列的には「コンチェルト・グロッソ」に近いか。

打楽器人として、また天野正道好きとして、非常に興味がある。
最近の天野作品で気になっているのが「La suite excentrique」。第7回響演で神奈川大学が演奏していたが、一度聴いただけでかなり気に入った。特に第2楽章のValse(スラブ的なワルツ)が良かった。
第7回響宴パンフレットの解説はこんな感じ(おそらく作曲者本人による)。

この曲は4楽章で構成されており、各楽章は切れ目無く演奏しても楽章ごとに区切って演奏してもかまいません。ただどちらの演奏方法をとるかによってテンポ設定や表情のつけ方が変わってくるようになっています。
1楽章は1st.Tpのフレーズをミュートを変えた2nd、3rd.Trpが陽炎のように追いかけて始まります。その後森の囁きのような雰囲気が続いて突然大見得を切って終了。
2楽章のValseはウインナワルツのようなお洒落な雰囲気ではなく、スラブ的な(2楽章以降は全てワルシャワで作曲したので必然的にそうなったのですが)Valseになっています。トリオ以降に別なテンポのValseが出てきて突然終わります。
3楽章は終始一貫深淵を表現しています。その静けさを突然終始を告げる鐘がなって終わります。
4楽章は荒々しいユニゾンとブズキ音楽的変拍子によって構成されています。荒々しく押し通して盛り上がって、突然長7度のベルトーンによるハーモニーとユニゾンで終わります。
このように全曲通して「突然」がきっかけになって終わるというかなり無理のあるつじつま合わせでこの曲は構成されています。


[グレード:4](約12分 50人)

百聞は一見ならぬ一聴にしかず。聴いてみるべし。
21世紀の吹奏楽「響宴VII」〜新作邦人作品集/KYO-EN VII21世紀の吹奏楽「響宴VII」〜新作邦人作品集/KYO-EN VII
というか私こそこのCD買おうと思って買えていない。
ちなみに今年の全国大会で東北福祉大学がやったようですね。


また以下のコメントに注目。

とにかく、国立音大はシンフォニックウインドアンサンブルにしてもブラスオルヒュスターにしても、そのプログラミングが毎回とてもいいですね。洋の東西、吹奏楽作家・非吹奏楽作家の違いを問わず(どちらかに偏向せず)に重要な作品を「体系的に」取り上げ、なおかつ新作の委嘱も積極的に行う、という活動は本当に素晴らしい。「音楽大学のなすべき吹奏楽」を実践しているのは、今のところこの大学だけだと思います。この路線はプロのバンドのなすべきことともちょっと違う、まさに研究機関・教育機関でしかできないこと。他の大学も見習わなければいけませんね。

そうなのかぁ。その世界のお方が仰るのだからそうなのだろう。ぜひ足を運んでみたいものだ。