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cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

マーラーの謎・謎

マーラーの交響曲第4番の謎 : 鎌倉スイス日記

マーラー4番についての謎。かなり細かい分析。


もはや人生で切っても切れなくなってしまった作曲家マーラーだが、個人的には4番はあまり好きになっていない*1 *2。というのは初めて聴いた時からこの曲だけ非常にカオス的な要素、つまり1楽章にて唐突に5番第1楽章のモティーフが出てきたり、第2楽章はなんとなく2番3楽章と似てないこともないし、また3番の7楽章として当初着想されていたという位置関係もあって、悪く言えば中途半端な、そんなカオスを感じずにはいられないのだ。3楽章のアダージョもなんとなくふらついているというか、落ち着かない感じ。


この4番の他にもマーラーには違う曲間で共有する要素というのが多分にあるらしく、「坂本くん」さんによるまとめだと、

このようなマーラー独特の<各曲間でモティーフを共有する>という作曲法は、マーラーの個々の作品の間に「時間的連続性」と「関連性」を与えています。同一モティーフの再利用は、聴く者に作品間に共通したイメージを掴みやすくさせます。


マーラーの謎: 「おかか1968」ダイアリー~いっそブルレスケ~

なるほど、という感じ。


でもクラシック初心者の私がマーラーに惹かれたのは、その大胆な管弦楽法、例えばダブルTimpaniなどに見られる打楽器の多用(これが吹奏楽で打楽器やってた身としては一番びっくりした)*3金管楽器の斬新な使い方(Tpのハイトーン)など、そしてなによりメロディーの素晴らしさにあったと思う。それもほぼ順番にマーラー交響曲を聴いていって、最後に最高傑作の9番を聴き、この世の最高傑作と言いたくなる曲を知ってしまう。順番に聴いていったというのがみそで、それは交響曲と数曲の歌曲しか残さなかったマーラーの人生史も若干反映していることで、作曲家がどのような人生を歩んでいたのかという「曲と人生との繋がり」も同時に見れた、というのがあると思う。それは無知なので必死にライナーノーツを読んでたってことだが。


…と、個人的に気滅入っててマーラー9番聴いて寝た所で、さっき起きてみると気になるエントリーがあったため反応してみた。


[追記]
新たな謎、というか譜面の版の違いかもしれないけど、9番の後半で微妙にTimpaniの入りが違うところがある。
ブーレーズ/シカゴ響で18分18秒辺りに、Tpが「F〜Es Es〜」と吹いた後に低音郡がそろって「Fes〜F〜Es,Fes・F Es〜」で入るのと頭を同じくしてTimpaniがロールで入るのだが、これがバルビローリ/ベルリン・フィルの同じ部分(16分18秒辺り)では、Tpが「lowF〜Es Es〜」と吹く所の2回目のEsでTimpが一人飛び出してロールで入る。
個人的には前者の方がすっきりくるし、こっちの方の演奏をよく聴くのだが、インバル/ベルリン響の大阪公演は後者の方だった(ただ奏者が落ちたと思って、あわてて入った気もしなくもなかった)。
こればかりはミニスコアを買えばすぐ解決しそうなのだが。



※それにしてもクラシック関連のBLOGって多いですね。私の及ぶところではありません。やはり暫し吹奏楽に物申してた方がいいのかも。どっかで音楽学なり音大なり入って勉強してから物申した方がいいような。とりあえず大学には、アジア系だけど音楽学サウンドスケープ?)やってる人もいるし、ワーグナー専門にしてる人もいるし、個人的にフランス音楽をやってる人もいるらしいし、どうにかなってほしいもんだが。(でも専門にするまでにはいかないかなぁ)

*1:シャイー/コンセルトヘボウ しか聴いてないのもあるかも

*2:実は8番も、オペラの経験が浅いのと壮大過ぎて、そんなに聴けてない

*3:音楽史的にはベルリオーズがパイオニアだけど、聴いたのはマーラー1番が先