cogno-SIC

cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

「Harrison's Dream」(Peter Graham)の心とは 補足

(便宜上、文が長くなるので少し分けてみる)


Dava Sobel著『Longitude』に関しては題名を変えて日本語訳されている
経度への挑戦― 一秒にかけた四百年/デーヴァ・ソベル (著), 藤井 留美
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40f4fcc473096010695c?bibid=01456997
この本を紹介している個人日記にあらすじが記されているので、少しはハリソンを理解する手助けになるだろう。

というわけで、本書はクロノメーターを初めて作った孤高の天才、ジョン・ハリソンの苦難の生涯を描いたもの。


1714年、経度を正確に測ることのできないことによる遭難事故の多発に業を煮やしたイギリス議会は、「2分の1度以内でその経度を求める方法を見出したものに2万ポンドを与える」という経度法案(The Longitude Act)を通過させる。永久機関錬金術に並ぶ科学の究極の難問とされたこの問題に取り組んだ者たちは、ガリレオカッシーニニュートンや、ハレー彗星の発見者として知られるエドモンド・ハレーオイラーの定理で有名な数学者レオンハルト・オイラーなど、錚々たる科学者たち。


その誰もが、天体における月の運行の時間差から経度を求める月距法に頼り、その複雑な月の運行を求める数式を求めようとしたり、実際にグリニッジから月と他の星の位置関係を長い間観測したりしていた。そうした試みは結果的に光の速度や星の距離、はたまた地球の重さを割り出すきっかけにはなったものの、どうしても肝心の経度を正確に求めることができなかった。


そこに現われたのが、独学で時計製作を学んだ大工、ジョン・ハリソン。当時の時計は金属の収縮や潤滑油の粘性が温度の影響を受け、また振り子を利用していたために狂いやすく、とても海上で使えるような代物ではなかった。誰もが海上で時計が使えるなんて信じなかった頃、彼は摩擦が無く潤滑油を必要としない、また金属の収縮を相殺するバイメタルとバネを使った精密な時計をクロノメーターとして開発してゆく。そしてそこに立ちはだかるのは、権威ある天文学者で月距法を信奉する政敵ネビル・マスケリン...


http://www.total.net/~oda/ja/diary_022002.htm#0225

ガリレオニュートンの名前が出てくるだけあって、ハリソンの業績がかくも偉大であることがうかがえる。


どうやら原本は現地イギリスでベストセラーになったようだ。暇があれば読んでみたい。