cogno-SIC

cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

大学の部(2005/10/22)

関西代表 大阪府 近畿大学吹奏楽部(守屋英二) Ⅰ/大阪俗謡による幻想曲(大栗裕)

団紹介のアナウンスの間、奏者は2階中央をそろって見ている。ステージ上の演出にも心がけている、というところか。課題曲、スローめなテンポだが、若干ぶっきらぼう。鍵盤奏者の振りは大袈裟すぎると思う。自由曲も、通して懇切丁寧な指揮。だがあえてこの曲ではけばけばしい表現が欲しい。物足りない感があった。

(課:S+ 自:S− 総:S) 銀賞

西関東代表 埼玉県 文教大学吹奏楽部(佐川聖二) Ⅲ/紺碧の波濤(長生淳

課題曲、さっくり高速で。スフォルツァンドの切れが良い。Lentoは早めで、さらに(超)高速に。パーカッションソロでスネアはリムショットかます始末。まあ、ありだと思う。自由曲、この曲がなぜ良く演奏されるのかわからない。日本人らしい題名どおりの印象のメロディが、あちこち途切れてはまたやってくる。聴衆としては落ち着かない。サウンドが綺麗なのは確か。

(課:G− 自:S+ 総:G−) 金賞

東海代表 静岡県 静岡大学吹奏楽団(三田村健) Ⅳ/ハリソンの夢(P.グラハム)

打楽器準備に時間がかかる。スムーズなステージ準備も、打楽器パートのちゃんとした仕事ではある。指揮者の方が非常にユニークで、演奏もその人格を反映してるかのような、大らかで明るめな感じ。響きを大事にしている。自由曲、課題曲より若干強弱のレンジが狭くなり、音質が落ちたか。でも厳密に縦を気にしない、風格のあるハリソン。超快速。この日一番興奮する。打楽器もこんなにあったっけ?というほど多色で、奏者全員がトライアングルを叩くところなどは普通に面白い。高速部からコラール再現部の際の間の取り方に鳥肌を感じる。最後のトランペットなど金管のコラールの詰めが甘かったのが、非常に惜しい。だがこの日一番好きな演奏だった。

(課:G− 自:G− 総:S+) 銀賞

北海道代表 北海道 浅井学園大学吹奏楽団(菅原克弘) Ⅲ/序曲「ピータールー」(M.アーノルド

ステージ準備中に「危ない」との声が頻発。課題曲、弱い音符の扱いが疎か。全体的なバランスのせいか空虚感を感じる。北の大地だから音程が低めなのだろうか?自由曲、基本的に打楽器打ちっぱなし。もっと自制を求めたい。その他楽器も、ホールを十分使えてない感。

(課:B+ 自:B− 総:B) 銅賞

東関東代表 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部(小澤俊朗) Ⅰ/楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/M.ハインズレー)

【もはや大学一を狙うのではなく、吹奏楽一の何かを目指している感】
サウンドが明らかに違う。吹奏楽とシンフォニックという区分法は正しくない、吹奏楽でシンフォニックなサウンドが再現できることを思い知る。課題曲、弱音のGongも存在感ある音で聴こえてくるし、Triangleを倍にするなど、打楽器への配慮もキチンとなされていた。奏でられる音楽は大らか過ぎるほど。自由曲、ソロ奏者は観客のほうを向いて演奏したり、以前バンドジャーナルか何かで演奏時の姿勢の大切さを小澤氏は主張してたが、それが実際に理解できた。凛々しいTimpは、クラシックの曲だけにリードすべきところは先んじて演奏できている。あくまで冷静沈着に音楽は進み、ほぼプロのような感じ。一つだけ難をつければ、最終部の狂乱後にフルートだけが残るところで、打楽器郡が力打した後姿勢を変えないような芝居は、いらないんじゃないかなぁ、と。見てる分にはかっこいいですが。

(All:G+) 金賞

東京代表 東京都 駒澤大学吹奏楽部(上埜孝) Ⅰ/交響曲第5番「革命」より 第4楽章(D.ショスタコーヴィチ/上埜孝)

サウンドがやはり他団体と違うのだが、直前の神奈川大とはまた違う、より管楽器の輝かしい響きに重きを置いた明るいサウンド。こういうのを吹奏楽的、というのだろうか。人数が神奈川大より少なめで、よりたくさん吹くために響きが変わったのだろうか。全体として、金管郡の安定感と突出したサウンドが印象に残るが、自由曲では同様に明るめのクラリネットの音色がこの曲と無愛想では、と思う。解釈にもよるが。編曲自体もシンプルすぎるきらいがあった。指揮者はもう高齢で、多くを指示しない指揮が演奏に反映されたか。

(All:G+) 金賞