cogno-SIC

cognoscenti(こぐのん) notes (mainly classical music)

奈良の事件に関して

多少わけ分からんことを書くかもしれないが、書いておく。


奈良の事件である。犯人が新聞配達を長い間していたと報道されている。
今年だっただろうか、同じように新聞配達所勤務の人が事件を起こして報道されていた。


私が危惧するのは、新聞配達所=なんかやばいところ、という安易なイメージが広まってしまうのではないだろうか、ということである。
去年まで奨学生として住み込みで働いてた身から少し言っておきたい。私が奨学生として新聞配達をしていたこともそうだが、私と同じぐらいの若者が経済的な理由などで、新聞奨学生という道を選んで、毎日働きながら己の道を進んでいるものが本当にたくさんいる。新聞奨学生以外にも通常の社員を含めれば、そういった実に多くの人が一生懸命黙々と朝早く起きて寒い中一軒の漏れもなく新聞を200件以上配り、月末になれば集金に出かける。集金ほど効率の悪い仕事はない。お客さんのいる時間を見計らって行かねばならないし、その分どのお客さんはいつ行けばいいかをしっかり把握しておかないと仕事にならない。そうやってタイミングのいい時にうかがってもいないときはある。何度も何度も伺う。さらにはインターホン押しても出てこない客もいる。長い間お金を出したがらない客だっている。そんなことに文句は言えず、さらには勧誘で購読数を増やしに行かねばならないときだってある。正直、週休一日あれど、お客さんの都合で集金に出かけなくてはならないときもあるから、休みの日なんてない。
だらだらと書いたが、そうやって頑張っている人々が全国中にいるってこと、みんなよく気づいていて欲しい。毎日当たり前に新聞が届いてるもんだと思われているだろうが、配達者としては決して当たり前ではないこと、これも日々齷齪して働いている一部なんだと言いたい。


こうやって言ってても、もしかすると新聞配達の特異な環境がこのような事件が発生した原因だということを完全には否定できないかもしれない。私もそう言った環境が耐えられずに一年しか持たなかったのだが、男の濃度が高いし、慢性的に人手不足だし、媒体がネットへ移ってることもあるし、非常に肩身の狭い立場に置かれている。作業負担を軽減させる機械だって導入できない店だってたくさんある(私の勤務してた所はすべて手作業だった)。そういった環境が少しでも改善されればと思う。


特に今の時期なんて寒さで死ぬ思いで皆配ってる。


報道というものはほんと安易で根拠のないイメージを抱かせやすいから困ったものだ。